2012/04/29

山崎元さんへアクティブファンドに関する疑問を質問してみました!

前回の記事でも触れましたが、コツコツ金沢の主催者から貴重な機会をいただきましたので、山崎元さんに質問を3点させていただきました。

山崎さん本人から公開の許可をいただきましたので、公開したいと思います。



質問1「仮にインデックスファンドと同等の信託報酬のアクティブファンドがあった場合、どの程度組み入れても良いとお考えでしょうか?」

<山崎さんからの回答>


アクティブファンドの性格にもよりますし、運用資金の性格にもよると思います。
個人投資家の場合、極端な性格のファンド(例えば小型株に集中投資するようなもの)でなければ、インデックスファンドに替えて自分が気に入ったアクティブ・ファンドに、投資してしまって構わないと思います。手数料差が無くなれば、アクティブファンドとインデックスファンドの平均的なパフォーマンスの差は、ほぼ無くなるはずなので(厳密には、まだ、ファンド内の取引コスト分不利ですが)、アクティブ・リスクは「楽しみのうちだ」という程度に考えることが出来るように、なると思います。たとえば、私が普通の会社のサラリーマンで、3千万円お金を運用していて、預金・個人向け国債で1千万、国内株1千万、先進国株5百万、新興国株5百万、とでも運用しているのだとすれば、国内株1千万円の部分を手数料の安いアクティブファンドで運用するのも「あり」だと思います。
他方、年金基金のような投資家の場合、ベンチマークとのパフォーマンスのズレを、「長い目で見ると勝ったり負けたりだ」と割り切って投資するわけにはいかず、加入者に対する説明責任を負うので、アクティブファンドは慎重に選び・組み合わせる必要があります。ただし、この場合もインデックスファンドに対するアクティブファンドの比率は、これまでよりもかなり高めることが出来るようになるはずです。

<つばさ補足>

現状は、
インデックスファンドよりアクティブファンドは手数料が高くて、
事前にパフォーマンスの良いアクティブファンドを見分けることができない以上、
アクティブファンドに投資することは非合理的だというのが、
山崎さんが普段主張されていることですが、
仮にインデックスファンドとアクティブファンドの手数料の差が無くなれば、
個人投資家の場合は好きな方に投資すればよいとお考えのようです。

ただし、
年金基金などの機関投資家の場合は、
加入者に対して、
どうしてこのアクティブファンドに投資したのかという説明責任があるので、
慎重に判断すべきという意見です。



質問2「アセットアロケーションを計算する場合には、アクティブファンドを
一つのアセットクラスとみなして計算するべきでしょうか?
それともアクティブファンドが投資対象としているアセットクラス内で
インデックス/アクティブの最適比率を計算するべきでしょうか?」


<山崎さんからの回答>


たとえば、非システマティックリスクが7%くらいのアクティブなファンドを考えたとき、非システマティックリスクの分散は49(単位は%の二乗)、システマティックリスク(βで説明できるリスク)はざっと20%くらいあるでしょうから、システマティックリスクの分散が400ということになります。このばあい、総分散449の89%くらいをシステマティックリスクが説明することになるので、アセットクラスを分けることは不要でしょう。7%の非システマティックリスクというと、結構なリスクを取っているアクティブファンドです。

<つばさ補足>

システマティックリスクと非システマティックリスクという言葉が出てきましたが、
システマティックリスクとは、市場リスクとも呼ばれ、
分散投資によっても減らない市場そのものに存在するリスクのことです。
非システマティックリスクとは、個別の投資対象に起因するリスクのことです。

分かりやすく日本株式でいうと、
TOPIXや日経平均の株価変動がシステマティックリスク、
トヨタやNTTドコモなど個別銘柄の株価変動が非システマティックリスクです。

結構なリスクを取っているアクティブファンドでも、
非システマティックリスクは小さいので、
アセットアロケーションを計算するときには、
わざわざアセットクラスを分けて計算する必要はない、
つまり、アクティブファンドの期待リターンやリスクなどを計算しなくても、
TOPIXなどのリスクで計算してよいということだと思います。



質問3「アセットアロケーションを計算する場合は、
アクティブファンドの期待リターン、リスクはどのように求めるべきでしょうか?
(インフォメーションレシオ(IR)などからインデックス/アクティブ比率の
最適化計算はできるのでしょうか?)」


<山崎さんからの回答>


そもそも現実問題として「期待アクティブリターン」など、求めることが出来るのか、という大問題があります。実績のアクティブリターンとアクティブリスクを何年分かのデータで計算して、それをそのままあてはめるというのは、明らかに杜撰です。年金運用などの場合、「IR=0.5」くらいを目指します」、と宣言することが多いようですが、これを丸呑みするのは疑問です。
理屈上は、
効用=<期待アクティブリターン> ー <アクティブのリスク拒否度> × <アクティブリスク>^2
という形の効用関数を作って、期待アクティブリターン= <IR推定値> × <アクティブリスク>と代入して、効用関数の最大化が得られるようにアクティブリスクの値を決めることが可能です。アクティブリスクの大きさが決まると、アクティブファンドへの投資比率を決めることが出来ます。
ただし、現実的には、アクティブリスクの大きさを変えるとIRも変わってしまうことが多く、上記の計算通りには行かない場合が多いし、また、そもそものIRの推定の信頼性に問題があります。現実的には、「このくらいまでのアクティブリスクならいいや」と腹をくくって、その範囲の中でファンドの投資比率を決めることになるでしょう。

<つばさ補足>

まず、インフォメーションレシオという用語が出ましたが、
これはファンドのベンチマークに対する超過収益率を、
運用期間中の騰落率の標準偏差で測ったリスク(アクティブリスクといいます)で割った「比」として求めます。
つまり安定的にインデックスに勝っているファンドはIRが高くなって、
勝ったり負けたりを繰り返すファンドはIRが低くなります。

質問はIRなどから最適な投資比率を決めることは出来るのかという質問ですが、
山崎さんからの回答は、計算方法は一応あるけど、
計算に使うIRは将来の推定値で、
過去の運用実績から算出したIRは信頼性が低いので使い物にならない。
現実的には、
将来のIRを完全に予測することは不可能なので、
最適な投資比率なんて考えずに、
この程度だったらリスクを取っても大丈夫だと自分が思える範囲内で、
アクティブファンドに投資すればよいという考えのようです。

私自身は、
ひふみ投信と結い2101というアクティブファンドに投資しているんですが、
投資する比率については、
過去のIRから最適な投資比率を計算していたのですが、
過去のIRをそのまま使うことに対して、
それで良いのかと悩んでいたんですが、
やはり山崎さんも過去のIRは使い物にならないという考えのようで、
疑問に感じていたこと自体は正しかったようです。

しかし、IRの推定方法が無い以上、
しばらくは今の投資比率のままでいいかなと、
山崎さんからの回答を読んで感じました。



今回、私の稚拙な質問に丁寧に回答していただいた山崎元さん、
また、貴重な機会を与えていただいたコツコツ金沢主催者の方、
両者に心から感謝申し上げますm(__)m

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